先週訪問した会社に、高い技術を持っている金属部品加工の会社があります。


仮に「A機械」とします。


注文を受けたら、鉄などの材料を調達して、設計図通りの形に削ります。


大量生産ではなく、ベテランの技術者が機械を使って一つ一つ削ったり穴をあけたりしています。


それが終わったら、他の工場で溶接や、研磨、メッキを経て製品として検品して納品。


これが昔は町の中でできていたらしいのです。



穴あけが終わったら、すぐ近くにある工場に持っていって「じゃ、これお願いね」「よし来た!」って感じ。


産業集積のメリット


だから、

  • 注文を受けてから、製品が出来上がるまでの時間が短い。
  • 近くに協力会社があるため、急な注文や試作品にも対応しやすい。
  • 町の中が一つの大きな工場みたいになっているので、運送コストが小さい。
  • 顔の見える関係の中で相談や調整ができ、不具合にも迅速に対応できる。
  • 技術が町に蓄積される。
  • 企業同士が刺激し合い、地域全体の技術力が高まる。
  • 製品や部品を遠方へ送る必要がなく、物流費を抑えられる。
  • 必要な加工技術を持つ企業が近くにあるため、アイデアを形にしやすい。
  • 同じ業界の企業が集まることで技術者の交流が生まれ、技能が継承される。
  • 各社が得意分野に特化することで、すべての設備を自社で持つ必要がない。
  • 急な受注やトラブルが発生しても、地域内で協力しやすい。

というようなメリットが沢山あったのです。


この「地域のものづくりネットワーク」が、A機械の強みでもありました。


会社の中の強みだけではなく、会社の外にも強みがあったんですね。


事業承継は一社の問題では無かった!


ところが、

少しずつ事業承継ができない工場が出てきて一つ一つ廃業に追い込まれたようなのです。




今では、穴あけが終わったものを県外で溶接してもらい、また送り返してもらって今度は県内だけど遠くの工場でメッキ仕上げ。


そしてそれを送り返してもらって検品して納品。


重い鉄の部品をあっちこっち運ぶので、運賃もバカにならないし、意思疎通ができなくて別のものができてしまい、作り直すことも出てきたそうです。


A機械の技術の高さは変わらないのに、地域の産業ネットワークが無くなることで、競争力が落ちてしまっているのです。


そういうことか!!

事業承継は、一社の問題では無かった!


事業承継は、地域に蓄積された技術や信頼関係を次世代へ引き継ぐことでもあるんだなーと思いました。


地域のものづくりネットワークが失われた今、大きくなったコストをどう解消して競争力を維持するか、これから私も会社の人達と一緒に頑張ります。


でも、こうした会社を守るためにも、県内全体の事業承継を進めていく必要があると感じました。